人的資本・ウェルビーイング経営

AIで仕事が減ったとき、日本企業は人をどこへ動かすのか ― 「外で調整する国」と「中で調整する国」

AIで事務の仕事が減ると、会社には「仕事が減った人」が生まれます。米国の大手企業はこの夏、組織を薄くする方向に動きました。日本の会社は同じ道を選べるのでしょうか。制度と慣行を見ると、人を調整する場所が国によって異なります。決まっていないのは、動かした先が意味のある仕事かどうかです。

UberとMetaで始まった「組織を薄くする」動き

2026年9月2日、Uberは約3,300人、全社員の10%を減らすと発表しました。CEOは社員向けのメモで、理由を「組織をシンプルにする」「意思決定を速くする」「将来への投資余力を作る」と説明しています。管理職を20%減らし、その一部は部下を持たない個人担当として残る、という内容です。売上が前年比12%増と好調な中での決定でした。

UberはAIを削減の理由に挙げていません。管理階層を減らし、自動運転やドライバーへの投資に資金を回す、という組織構造の作り替えです。「AIで人が減った」と読むのは正確ではありません。

一方、MetaははっきりAIが理由でした。Reutersの特別リポート(8月26日)によると、Metaは2026年1月に「Project OT」と呼ぶ計画を立て、AIエージェント(指示を受けて自分で作業を進めるAI)と少人数チームで数千人分の業務を置き換えようとしました。一部のチームを最大60%減らす案もあった、と報じられています(Metaは「実行を前提にした案ではなかった」と説明しています)。職種名を「builder」に統一し、管理階層を減らし、エンジニアの一部をAIの学習データを作る部門へ異動させました。

つまり、二つの会社に共通するのは「人員削減」ではなく、階層と役割の作り替えです。AIが直接の理由かどうかは、事例によって違います。「AIで○人削減」と報じられる話の中には、本当の理由は景気や戦略の転換で、AIは説明の建前になっているケースもある、という指摘もあります。事例を読むときは、この違いを分けておく必要があります。

AIで生産性が上がると、次の問題が来る

問いを数字で置いてみます。AIで100人分の仕事が50人でできるようになったとき、残りの50人をどうするか。

Metaはこの問いに、「減らす」と「AIの下働きへ動かす」の二つで答えました。5月に約10%を削減し、エンジニアの一部をAIの学習データを作る部門へ異動させたのです。その結果、次のことが起きました。

  • 重大な技術・セキュリティ事故が前年比40%増え、事故対応にかかる時間は70%増えた
  • 社員満足度調査の「良い」回答が74%から55%に落ちた
  • AIの学習データを作る部門へ異動させられた社員からは「単調な作業」と批判が出た

この結果を受けて、Metaは計画を戻しました。11月に予定していた2回目のレイオフを止め、AIの学習データ部門へ異動させた社員の一部を、元の部署に戻したと報じられています。つまり、減らすことも、動かすことも、一度やってから引き返したということです。

米国の、しかもレイオフが珍しくない文化の会社で、この反発です。減らす選択は、減らした後の品質と信頼を同時に失うリスクを抱えます。そして、減らさずに動かした場合でも、動かした先が意味のない仕事なら同じことが起きます。

AIで生産性を上げることと、そのとき残った人をどうするかは、切り離せません。後者を設計しないまま前者だけ進めると、組織全体の生産性は上がらないのです。

※Metaの数字はReutersの報道によるもので、Metaは数字についてコメントを控えています。

「50人余った」は本当か

ここで、問いそのものを疑ってみます。「AIで50人分の仕事が減った」は、「50人が余った」と同じではありません。AIで減った仕事は、実際には3つに分かれます。

① 時間が浮く

一番多いのがこれです。100人がそれぞれ2割ずつ楽になりました。合計すれば20人分ですが、動かせる「人」は一人もいません。浮いたのは、100人に薄く散った時間です。

この時間は、何も決めないと二つのどちらかになります。後で説明する③の確認作業に黙って吸われるか、ただ薄まって消えるかです。だから、浮いた時間の使い道を決める必要があります。使い道は大きく二つです。

一つは、増やす領域の仕事(顧客対応や企画や改善のような、AIでは減らない仕事)に、それぞれの人の浮いた時間を回すことです。

もう一つは、散った時間を「束ねて」一人分にすることです。たとえば5人がそれぞれ2割ずつ浮いたとします。このままでは誰も動かせません。そこで、5人のうち1人をその仕事から外し、その人がやっていた仕事を残りの4人で分担します。4人はそれぞれ2割ずつ仕事が増えて、元の忙しさに戻ります。その代わり、1人がまるごと浮きます。こうすれば、次の②と同じ「人単位」で行き先を考えられるようになります。

② 役割が消える

データ入力や定型のチェックのように、仕事そのものがなくなるケースです。ここは人単位で行き先が要ります。大事なのは、受け入れ先を先に用意することです。受け入れる側に、その人が担当する具体的な仕事、育てる責任を持つ上司、新しい仕事に合った評価基準の3つが揃っていないと、異動した人は放置されます。「来てから考える」では、次の章で見る社内失業になります。

③ 確認の仕事が増える

見落とされやすいのがこれです。AIの出力を確認し、間違いを直す時間は、新しく増えた仕事です。誰も担わないと品質が落ちます。Metaで事故対応の時間が70%増えたのは、減らした先にこの仕事を担う人が残っていなかったからだと読めます。

ここで①とつながります。確認の仕事を誰が担うか決めないと、①で浮いた時間がここに黙って吸われます。「AIで楽になったはずなのに、なぜか忙しい」の正体は、たいていこれです。

AIで減った仕事は3つに分かれ、行き先はそれぞれ違う
AIで減った仕事は3つに分かれ、行き先はそれぞれ違う(筆者作成・Metaの数字はReuters報道による)

※画像はクリックで拡大できます

再配置の前に「何が減ったか」を数字で確かめる必要があります。ここを飛ばすと、品質を支えていた人を動かしてしまいます。

米国と日本では、調整の場所が違う

「残った50人をどうするか」への答えは、国によって傾向が異なります。

米国:外部労働市場で調整する

米国では、解雇の自由度が高い雇用の仕組み(随意雇用)が基本です。一方で、職務記述書によって一人ひとりの仕事の範囲が決まっているため、社内で別の仕事に動かすのは簡単ではありません。結果として、外に出して外から採る、つまり外部労働市場で調整する方が動きやすくなります。Uberが管理職を20%減らせたのは、この仕組みの上でのことです。

日本:企業の中で調整する

日本では逆です。解雇には労働契約法16条の歯止めがあり、人員整理のための解雇は、人員削減の必要性、解雇を避ける努力、人選の合理性、手続きの妥当性の4つが問われます。罰則があるわけではありませんが、解雇が無効と判断されれば、その間の賃金を払うことになります。Uberのように「業績は好調だが構造改革で10%減らす」は、解雇を避ける努力の点で成立しにくいのです。

その代わり、就業規則の配転条項を根拠に、会社は広い範囲で仕事や勤務地を変えられます。外で調整しにくく、中で動かしやすい。これが日本の型です。

ただし、純粋に中だけで調整するわけではありません。みずほフィナンシャルグループの例が分かりやすいと思います。読売新聞など複数の報道(2026年2月27日)によると、みずほは今後10年で、全国約1万5,000人の事務職員のうち最大5,000人分の事務作業をAIで減らす方針です。解雇はせず、採用を絞り、退職による自然減を待ちながら、残る人をリスキリング(学び直し)の上で個人向け営業や法人営業向けの情報収集・分析などへ配置転換します。10年という時間が、外部労働市場の代わりをしているのです。

つまり日本の会社は、雇用を維持したまま、配置転換→学び直し→新しい仕事→新しい評価→新しい報酬まで、自社の中で設計しなければならないということです。外に任せられる部分が小さく、その分だけ時間がかかります。

米国は外で調整でき、日本は中で設計しきるしかない
米国は外で調整でき、日本は中で設計しきるしかない(筆者作成・出典:Uber公式ニュースルーム、Reuters報道、労働契約法16条)

※画像はクリックで拡大できます

一つ補足します。2024年4月から、会社は雇い入れのときに「将来、どの範囲まで勤務地や仕事が変わり得るか」を示すことが必要になりました。働く人が自分の将来を見通せるようにするためのルールです。この範囲を狭く示した社員(勤務地や職務を限定した社員)は、その範囲の外には本人の同意なしに動かせません。つまり、限定した働き方の社員が増えるほど、会社が中で動かせる範囲は狭くなります。その分の調整は、外部労働市場に移っていくことになります。日本も少しずつ、米国型に近づく方向です。ただ、現時点では「中で調整する国」であることに変わりはありません。

日本の最大リスクは、大量解雇ではなく「社内失業」

ここからは多くの日本企業の話に移ります。中で調整するしかない日本の会社が、設計をしないとどうなるでしょうか。

仕事は減りました。でも人はいます。旧業務・旧職務・旧評価制度のまま残ります。これが社内失業です。AIで生産性が上がったのに、組織全体の生産性は上がりません。減った仕事の分だけ人が浮き、その人の給与と時間が組織の中に残るからです。

日本ではレイオフの代わりに、その場しのぎの仕事を作って人を置いておく、ということが起きがちです。意味のない仕事の量産や、いわゆる追い出し部屋がその形です。Metaが米国でやった「AIの学習データを作る部門への異動」は、日本で言えば「浮いた人に単純作業を集めた部署」にあたります。日本の会社はこれを、もっと静かに、もっと長くやれてしまいます。

動かす意思はある。動かす先を作る準備は薄い

数字を二つ並べます。

日本企業の「動かす意思」と「動かす準備」
・AIを組織的に活用する企業のうち、29%が「5年内に効率化で配置転換の可能性がある」と回答。大企業では47%(東京商工リサーチ、2026年4月、6,327社)
・リスキリングを実施している企業のうち、61%が「職務や役割の転換は前提にしない」。職種転換を伴うリスキリングを実践しているのは9.5%(みらいワークス、2026年5月、400名)

動かす意思はあります。しかし、動かす先を作る準備は薄いのです。研修は増えていますが、その研修が「どの仕事に就くため」のものかは決まっていません。この隙間に、社内失業が入り込みます。

「仕事が減った人」の行き先として避けたい3つ

  • 研修だけ受けさせて、配置先が決まっていない
  • AIの下働き(データ整備・チェック作業)だけを集めた部署を作る
  • 「とりあえず営業へ」と一律に異動させる(本人の適性も、受け入れ側の準備もない)

見えないから起きていないのではなく、見えないから放置される

Metaの失敗が外から見えたのは、「出来事」があったからです。レイオフは発表され、訴訟は公開され、内部文書と満足度調査は記者に漏れました。外部の圧力が、会社に説明を強いた形です。

日本では、その出来事が起きません。解雇がないので報道されません。配転は広く認められているので訴訟になりません。社内失業は「事件」ではなく「状態」なので、いつ始まったか誰にも分かりません。エンゲージメントの低下は社内サーベイに出ますが、外に出ることはありません。損失は、退職や採用難や現場の質の低下という形で、1〜2年遅れて、原因が特定されないまま現れます。

だから、透明性の意味が日米で逆になります。米国では「隠しても漏れるから説明する」。日本では「隠しても漏れないから、説明しないと誰も止めてくれない」。外部の修正圧力がない分、経営が自分で説明し、自分で数字を追うしかありません。

つまり、日本の失敗は目に見えにくいのです。訴訟も報道も起きず、エンゲージメントと生産性だけが静かに落ちます。見えないことは、起きていないことではありません。

再配置は人事の仕事ではなく、戦略の設計

では、中で調整する国の会社は、何から決めればいいのでしょうか。

「どの仕事が消え、どの仕事が増えるか」は、人事が決めることではありません。事業戦略から来るものです。ここが決まっていないと、人の動かし方がぶれます。そして順番が大事です。増やす領域を先に決め、そこから減らす領域と人の動きを設計する。減らす領域から始めると、「浮いた人をどこかへ」になり、社内失業に向かいます。

経営が決める5つ(この順で)

  1. どの仕事を増やすか:成長領域です。みずほなら法人営業向けの情報収集・分析や、顧客の資産運用を支援するAIアシスタント。Uberなら自動運転とドライバーへの投資です
  2. どの仕事が消えるか:「時間が浮く・役割が消える・確認の仕事が増える」の3つに分けて確かめます。みずほは事務センターの書類確認とデータ入力です
  3. 誰をどこへ動かすか:受け入れ先の仕事・上司・評価を先に用意します。研修が先ではありません
  4. 何を学ばせるか:事務から営業のような転換には、中間の役割を置きます。みずほが2026年4月に「事務グループ」を「プロセスデザイングループ」に改称したのは、その例と読めます。書類を確認する人から、AIが正しく動くよう設計し監督する人へ。減らす領域と増やす領域を、組織の名前で社内に示した形です
  5. どう評価し、どう報いるか:新しい仕事を旧評価で測ると歪みます。前回の記事で書いた、AI利用率を評価に使うと何が壊れるか、と同じ問題がここでも起きます

行き先は、大きく4つ

「どこへ動かすのか」に、ここまでの話を集めて答えます。行き先は大きく4つです。

  • 増やす領域の仕事:顧客対応・企画・改善など、AIでは減らない仕事。浮いた時間の第一の行き先です
  • 束ねて作る新しい役割:散った時間を集めて一人分にし、新しい担当を置く
  • AIの確認・運用の仕事:出力の確認、AIが正しく動くための業務設計。みずほの「プロセスデザイン」はここです
  • 中間の役割:事務から営業のように距離のある転換では、間に業務設計やサポートの役割を置いて橋にする

どれを選ぶかは、増やす領域が先に決まっていて初めて決められます。だから順番が大事なのです。

同じ業界でも、答えは一つではない

読売新聞の同じ記事は、3つのメガバンクの違いにも触れています。みずほは事務を減らす領域と見ました。三井住友銀行は、店舗網の見直しで生じた人員の一部を、逆に事務担当へ再配置しています。三菱UFJ銀行は各地の事務を統括する「事務企画部」を残し、事務職員を確保します。事務を「減らす領域」と見るか「残す領域」と見るかは、戦略次第です。正解は一つではありません。

「連動している」と書きながら、設計されていない

ここまでやっている会社は多くない、というのが正直なところです。人的資本経営の議論では、「経営戦略と人材戦略の連動」や「現状とあるべき姿のギャップ」を把握することが求められ、有価証券報告書ではほぼ全ての会社がそのように書いています。しかし先ほどの数字では、職種転換を前提にしたリスキリングを実践している会社は9.5%でした。連動していると開示しながら、実際の人の動きは設計されていないのです。この隙間が、AI時代にはそのまま社内失業の隙間になります。

そして、先ほど見たとおり、日本には外部の修正圧力がありません。だからこそ、人員構成を変える決定ほど、増やす領域・減らす領域・誰がどこへ・なぜその先か、を先に説明する必要があります。透明性は倫理の話ではなく、中で調整する国で再配置を成功させる条件です。

つまり、AI経営の成否は、AIが何人分の仕事を代替したかより、そこで生まれた人的資本を次の成長領域へどれだけ回せたかで決まるのではないでしょうか。それを決めるのは人事制度ではなく、増やす領域を先に決める経営の意思だと思います。

【セルフチェック】「仕事が減った人」を動かす前の8項目

この記事の考え方を、自社の状況に当てはめてみるためのチェックリストです。正解を出すためのものではなく、「AIで○人分削減」という数字を動かす前に立ち止まるためのもの。気になった項目だけ拾ってもかまいません。各項目に、考えるときの手がかりを一言ずつ添えました。

  • 「○人分の業務削減」を、時間の削減・役割の消滅・増えた確認業務に分けて把握しているか部署別に「一人あたり何%減ったか」を出してみる。人数で語れる部分は意外と少ない。
  • 浮いた時間の使い道を決めているか決めていないと、その時間はAIの確認作業に吸われるか、薄まって消える。
  • AIの出力を確認・修正する仕事を、誰が担っているか見えているかMetaでは事故対応の時間が70%増えた。「楽になったのに忙しい」の正体はここ。
  • 「増やす領域」が先に決まっていて、そこから配置先が導かれているか減らす領域から議論が始まっていたら、行き先は「どこか」になる。
  • 配置転換の受け入れ先に、担当する仕事・育てる上司・新しい評価基準の準備があるか研修だけ先に走っていないか。「来てから考える」は社内失業の入口。
  • 職種転換に「中間の役割」を用意しているか事務から営業を一足で飛ばせる人は少ない。業務設計やAI運用の担当は橋になる。
  • 動かす理由と行き先を、本人と周囲に説明する順番を決めているか説明しない空白は、現場が埋める。日本では誰も外から止めてくれない。
  • 動かした後のエンゲージメント・生産性を追う仕組みがあるか日本の失敗は静かに起きる。数字で拾わないと、1〜2年後に退職と採用難で気づく。

直近でできること

大がかりな組織改編の前に、直近でできることが3つあります。

  1. 「AIで○人分削減」という数字を、時間・役割・増えた仕事の3つに分けて出し直す
  2. 直近のリスキリング施策に、「配置先」と「増やす領域」が紐づいているか確認する
  3. 人員構成を変える決定について、社員への説明の順番と内容を先に決める

「50人余った」が本当かどうかを確かめないまま動かすと、品質を支えていた人を動かしてしまいます。Metaの事故対応70%増は、その事例だったのではないでしょうか。

筆者コメント

AIで業務が効率化され、張り付いていた人が不要になること自体は、経営にとって良いことだと思っています。ただ、それをコスト削減にだけ向けると、経営と従業員の利益が食い違い始めます。日本の会社は外で調整できない分、中で動かした先に新しい価値を作れるかが問われます。それができれば人的資本経営の実例になりますし、その場しのぎの仕事を増やすだけなら本末転倒ではないでしょうか。

 

用語メモ

本記事に登場する専門用語をまとめました。▶ をクリックすると説明が表示されます。

▶ 外部労働市場/内部労働市場

人の調整を会社の外(採用と退職)で行うか、会社の中(配置転換と育成)で行うか、という区分。米国は外部労働市場への依存が相対的に大きく、日本は内部労働市場への依存が大きいとされる。

▶ 随意雇用(at-will employment)

米国の多くの州で基本となる雇用の考え方。差別など法律で禁じられた理由でなければ、会社も本人も、理由を示さずに雇用関係を終わらせることができる。

▶ 解雇権濫用法理(労働契約法16条)

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、権利の濫用として無効になる、という考え方。判例で積み上げられ、2008年施行の労働契約法16条に明文化された。

▶ 整理解雇の4要素

経営上の理由による解雇が有効かどうかを判断するとき、裁判所が見る4つの点。①人員削減の必要性、②解雇を避ける努力(配転・希望退職の募集など)をしたか、③解雇する人の選び方に合理性があるか、④労働者や組合への説明・協議など手続きが妥当か。「要件」と呼ぶか「要素」と呼ぶかで判例の考え方に幅がある。

▶ 配転命令権

就業規則などに配置転換の定めがあれば、会社は業務上の必要に応じて社員の仕事や勤務地を変えられる、という考え方。最高裁の判例(東亜ペイント事件、1986年)で枠組みが示された。業務上の必要性がない場合、不当な動機による場合、本人に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益がある場合は、権利の濫用として無効になる。

▶ 社内失業

雇用は続いているが、実質的な仕事がない、または意味のない仕事しか与えられていない状態。解雇が難しい日本で、人員が余ったときに起きやすい。本人にも組織にも損失が出るが、統計や報道には表れにくい。

▶ 労働条件明示ルールの改正(2024年4月)

労働基準法施行規則の改正により、雇い入れ時などに示す労働条件に「就業場所・業務の変更の範囲」が加わった。将来どこまで配置転換があり得るかを、働く人が最初に見通せるようにする狙いがある。示した範囲の外への配転には、本人の同意が必要になる。

 

 

※海外企業に関する記述はReuters・各社公表資料等の報道にもとづくものです。Metaは一部の数字や計画についてコメントを控える、または「実行を前提にしていない」と説明しています。みずほFGの方針は複数の報道によるもので、公式発表は本記事執筆時点で確認できていません。日本の法制度に関する記述は一般的な整理であり、個別の解雇・配置転換の判断は事案ごとに異なります。制度設計や個別の事案については、社内の人事部門や専門家にご相談ください。

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