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2026年4月、女性活躍推進法の改正により、常時雇用する労働者101人以上の企業に「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務化されました。
初めて対象となる中堅企業も多く、「どう算出するか」「どう説明欄を書くか」といった実務論点に注目が集まっています。
ただ、この制度の本当の意味は公表される「%」の大小ではなく、その数値を生んでいる「構造」にあります。数字は結果。打ち手は構造。この記事では、ボード視点と人事視点の両方から、2026年の公表義務化をどう読み解くかを整理します。
先日、大学院の社会人講座で「少子化とジェンダーギャップ」をテーマにした講義を聞く機会がありました。そこで取り上げられた論点を起点に、一次情報まで遡って自分で整理し直した記録です。
Contents
2026年4月、何が変わったのか ― 公表義務化の全体像
対象企業の拡大と必須項目の追加
女性活躍推進法(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は、2025年6月11日に改正法が公布され、2026年4月1日に施行されました。
今回の改正のポイントを一言でまとめると、情報公表義務の対象拡大と必須項目の追加です。
これまで「男女間賃金差異」の公表義務は常時雇用する労働者301人以上の大企業に限られていましたが、改正により101人以上の企業にまで対象が拡大されました。さらに、「女性管理職比率」も必須項目として追加されています。
つまり、これまで義務対象外だった中堅企業も、2026年4月以降に終了する最初の事業年度の実績から、自社の男女間賃金差異と女性管理職比率を数値で把握し、対外的に公表しなければならなくなりました。
企業規模別の公表項目
企業規模によって求められる項目数が異なります。全体像を整理するとこうなります。
| 企業規模 | 必須項目 | 選択項目 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 101〜300人 | 男女間賃金差異 女性管理職比率 |
2区分14項目から1項目以上選択 | 3項目以上 |
| 301人以上 | 男女間賃金差異 女性管理職比率 |
2区分から各1項目以上選択 | 4項目以上 |
初回の公表タイミングは、施行後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表することとされています。
例えば、2027年3月末に事業年度が終了する企業であれば、2027年6月末頃までに公表することが想定されます。
公表義務の要点
・対象:常時雇用する労働者101人以上の企業(事業所単位ではなく企業全体)
・必須:男女間賃金差異 + 女性管理職比率
・方法:自社ホームページ または 厚労省「女性の活躍推進企業データベース」
・違反:公表義務違反自体への罰則はないが、労働局からの報告を拒否・虚偽した場合は20万円以下の過料
数値の大小ではなく「構造」を読む ― 厚労省が示す視点
厚労省は「指標の大小それ自体のみに着目しない」よう求めている
興味深いのは、厚労省自身が公表にあたっての注意点を明確に示している点です。
厚労省の解説資料(「説明欄」の活用に関する記述)では、男女間賃金差異や女性管理職比率について、「指標の大小それ自体のみに着目するのではなく、要因及び課題の分析を行い、改善に向けて取り組んでいくことが重要」としています。
つまり、公表される%は、企業のこれまでの雇用・育成・登用に関する意思決定の積み重ねの結果にすぎない。数値そのものよりも、その背景にある要因を分析し、改善していくプロセスこそが重要である、という立場です。
数値が歪んで見える典型パターン
では、要因を分析せずに%だけを見ていると、どのような誤読が起きうるのでしょうか。いくつかの典型パターンを整理してみます。
- 女性新卒採用を増やした直後:若年層の女性比率が上がり、女性の平均賃金が一時的に下がる。数値は「悪化」したように見えるが、実態は将来への投資
- 女性の管理職登用を増やした直後:女性の平均賃金が上がり、数値が改善する。ただし管理職のパイプライン全体が整っていなければ、数年後に反転する可能性
- 女性の離職が多い企業:短期間で辞める女性が多いと、平均継続勤務年数が短くなり、役職手当を含む賃金水準も下がる。結果として差異が広がる
- コース別雇用制度を維持している企業:総合職・地域限定職などの区分で男女が分かれている場合、全社平均で見ると差異が大きく出る
つまり、同じ「10%の差」でも、その背景が採用強化なのか、離職なのか、コース別雇用なのかで、評価も打ち手もまったく違うということです。
ボード視点でこの数値を監督するなら、「この%はどういう構造から生まれているのか」を経営陣に説明させる質問力が問われます。
格差を生む構造① ― 雇用区分の分かれ道
男女間賃金差異を生む構造の一つ目は、雇用区分の分かれ道です。
多くの日本企業では、総合職・一般職・エリア限定職といったコース別雇用制度が残っています。そして、全国転勤を前提とする総合職には男性が多く、地域限定職・時短勤務を選ぶのは女性が多い、という分布が続いてきました。
この分布は、入社時点での選択結果のように見えますが、実際には制度設計・評価基準・キャリアパスの構造によって規定されています。例えば、管理職への昇進要件に「複数拠点の経験」が事実上組み込まれている企業では、地域限定職を選んだ時点で昇進の機会が限定されます。
結果として、雇用区分の違いが10年後・20年後の賃金差に直結していきます。入口で分かれた道は、そのまま年収の分岐点になるわけです。
格差を生む構造② ― チャイルドペナルティ
第一子出産後10年で女性の賃金は46%下落する
男女間賃金差異を生む構造の二つ目は、チャイルドペナルティ(子育てペナルティ)です。
チャイルドペナルティとは、子どもをもつことによって生じる経済的・社会的な不利益のこと。特に母親側に偏って生じるため、「マザーフッドペナルティ」とも呼ばれます。2023年にノーベル経済学賞を受賞した米ハーバード大学のクラウディア・ゴールディン氏が、男女賃金格差の要因として指摘したことで広く知られるようになりました。
日本国内の研究では、東京大学大学院経済学研究科の山口慎太郎教授らによる研究が注目されています。社員約4000人規模の製造企業の人事データ(2013〜2024年)を分析した結果、子どもを産んだ女性の賃金は、産まなかった場合と比べて第一子出産後10年間で46%下落していることがわかりました。一方、男性の賃金は扶養手当などにより約8%上昇していたとされます。
時間が経つにつれて格差の要因が変化する
山口教授らの研究が示した重要な発見は、時間の経過とともに格差の要因が変化するという点です。
出産直後は「残業手当の減少」「時短控除」など、労働時間に直接関連する要素が格差の主な要因になります。ここまでは、多くの人の直感と一致する話です。
しかし、10年ほど経って労働時間が元に戻っても、賃金格差は残っていました。そして、給与項目を細かく分析すると、役職手当の割合が徐々に大きくなり、15年を超えると役職手当が最大の要因になっていたのです。
つまり、一度時短や育休でキャリアの「谷」を経験すると、その後の昇進機会が減り、役職につきにくくなる。そして役職につかなければ、役職手当がつかない。これが累積的に、年収の差として固定化していく、というメカニズムです。
「当たり前」を覆す2つの事実
この研究にはもう2つ、注目すべき発見があります。
1つ目は、出産後も女性のキャリア志向(昇進意欲)には統計的に有意な変化が見られなかったこと。従業員サーベイの分析結果として、出産がきっかけで女性の昇進意欲が下がるという傾向は確認されませんでした。
2つ目は、長時間労働と人事評価の相関は最下位の職階(スタッフメンバー)でしか確認されず、チームリーダー以上では消えていたこと。さらに、過去の長時間労働が将来の生産性向上につながっているという証拠も見つかりませんでした。
つまり、「出産したら女性の意欲が下がるから昇進が遅れる」のではない。「長時間労働ができる人ほど優秀だから昇進する」のでもない。どちらも、この研究のデータからは支持されなかった前提です。
(出典:Okuyama, Murooka, Yamaguchi "Unpacking the Child Penalty Using Personnel Data" IZA Discussion Paper No. 17673, 2025)
筆者が読み取った構造 ― 「仕掛け」が意欲を封じている
ここからは論文の事実を踏まえた、筆者自身の解釈です。
この研究が示しているのは、長時間労働が評価される仕組みが入口の段階に集中しているという事実です。そして多くの場合、出産のタイミングはまさにこの入口の段階と重なります。
出産を経験すると、育休や時短によって構造的に長時間労働ができなくなる。すると入口の段階で人事評価が下がり、最初の昇進の機会を逃す。一度昇進の機会を逃すと、その後の役職手当の差が累積的に広がっていく。研究が示した「15年後には役職手当が格差の最大要因になる」という事実は、まさにこのメカニズムの帰結です。
意欲が下がるから昇進しないのではなく、仕組みが意欲を発揮する機会そのものを奪っている。結果として、意欲はあっても「この構造の中では難しい」と感じざるを得ない状況が生まれる。これは個人の選択の問題ではなく、組織の仕掛けの問題です。
2つの構造が生涯収入に与える影響 ― 企業は何を変え始めているか
雇用区分×チャイルドペナルティの複合が生む賃金格差の固定化
ここまで見てきた「雇用区分の分かれ道」と「チャイルドペナルティ」は、別々に作用するわけではありません。多くの場合、この2つが重なり合って、長期的な賃金格差として固定化していきます。
例えば、出産を機に地域限定職に転換し、育休・時短を経て復帰したとしても、全国転勤を前提とする昇進ルートからは外れてしまう。その結果、コース別雇用の壁とチャイルドペナルティの壁を同時に受けることになります。
公表される男女間賃金差異の%は、この複合的な構造の結果を集約した数字にすぎません。
補足:「扶養の壁」と生涯収入 ― 企業の外側にある、もう一つの構造
日本全体としてはもう一つ、見落とせない構造があります。それは「扶養の壁」です。配偶者の扶養範囲内で働くことを選ぶ女性は少なくありません。130万円の壁を超えないように就業調整をする方が「お得」に見える仕組みが、税制・社会保険制度の中に組み込まれているからです。しかし、内閣府が2024年に公表したデータでは、正社員としてフルタイムで働き続けた場合と、出産を機に離職した場合とでは、生涯収入に最大1億7000万円ほどの差がつくとされています。短期的には「お得」に見える判断が、生涯で見れば大きな機会損失になり得る。雇用区分の壁、チャイルドペナルティ、そして扶養の壁。企業内の構造と社会制度の構造が重なり合うことで、男女間賃金差異の構造はさらに強固になっています。
企業は何を変え始めているか ― 雇用区分改革とCP対策の両輪
では、企業内の構造に対して何ができるのでしょうか。山口教授らの研究は、残業を評価基準にするような昇進制度の見直しは、男女賃金格差の改善だけでなく、企業の人材活用の効率性にもつながることを示しています。
実際に一部の大手企業では、構造の両面に手をつける取り組みが始まっています。
雇用区分の構造を変える取り組み
- 総合職・地域限定職のコース区分を廃止し、全社員を一本の等級体系に統合
- 育児・介護中の社員について転勤を回避できる仕組みを導入し、あわせて管理職への昇進要件から「転勤経験」を外して職務・成果ベースの基準に移行
- リモートワークの定着を前提に、勤務地を限定しないポジションを拡大
チャイルドペナルティを縮小する取り組み
- 育休復帰後の一定期間、人事評価が下がらない仕組みを導入
- 昇格に必要な勤続年数に、育休期間を含める制度に変更
- 入口段階(最下位職階)の人事評価から労働時間の比重を下げ、成果・貢献ベースの評価に移行
いずれも、「労働時間×在社期間×転勤回数」を評価軸の中心に置いていた従来の制度を見直し、出産・育休がキャリアの停滞期にならないように、雇用区分と評価制度の両方から構造を組み直すものです。
言い換えると、男女賃金格差の解消は、女性のためだけの施策ではなく、企業の意思決定の質と競争力に直結する経営課題です。
「女性活躍」と「ジェンダーギャップ」は違う
女性だけが頑張る構造になっていないか
ここまで、男女賃金差異を生む2つの構造(雇用区分の分かれ道とチャイルドペナルティ)と、それらが複合して生涯収入に与える影響を見てきました。
どちらも共通しているのは、個人の意欲や能力の問題ではなく、制度設計・評価基準・キャリアパスの構造の問題だということです。
この論点を考えるうえで、冒頭で触れた大学院の社会人講座で講師が指摘していた視座が参考になります。それは、「女性活躍」と「ジェンダーギャップ解消」は違うという整理です。
「女性活躍」という言葉は、ともすれば全体構造はそのままに、女性だけが頑張る構造を生み出しかねません。「女性が管理職になりたがらないのです」と経営者が嘆く場面は、まさにこの構造の表れです。本来なら人口構成比から男女はおおよそ5:5のはずなのに、なぜ会議の場に女性が少ないのか。その現状を把握して、ハードルを除くところに手をつけていくのが「ジェンダーギャップ解消」のアプローチです。
つまり、意識ではなく、仕掛けを変える。講師の言葉を借りれば、「アンコンシャス・バイアスがなくなったところで、仕掛けが同じなら女性は働きにくいまま」ということです。
アンコンシャス・バイアス研修をいくらやっても、評価制度・昇進要件・働き方の構造が同じままなら、数値は動きません。意識ではなく、仕掛けを変える必要があります。
同質性のリスクと「3割」というライン
なぜ仕掛けを変える必要があるのでしょうか。答えは、同質性のリスクにあります。
属性が偏った集団には、集団浅慮(group think)という意思決定上のリスクがあることが知られています。反対意見が出にくく、異論が抑制される。見逃しが増え、イノベーションが起きにくくなる。変化の速い時代ほど、このリスクは大きくなります。
組織行動論の領域では、マイノリティが意思決定に影響を及ぼし始める閾値として、3割(クリティカルマス)という数字がよく引用されます。30%を超えるあたりから、マイノリティは「例外」ではなく「一つの意見の塊」として扱われるようになる、とされます。
この数字は、絶対的なものではありません。ただ、「女性管理職比率が12.9%(日本)と41.7%(スウェーデン)では、意思決定の質自体が違う」という議論の土台になる数字として、覚えておく価値があります。
ボードと人事が2026年の公表に向けて見るべき視点
単独の%ではなく、関連指標をセットで見る
ここまで整理してきた構造を踏まえると、2026年の公表義務化に向けてボードと人事が見るべき視点は、次のように整理できます。
- 男女間賃金差異の%と、関連指標をセットで見る
女性管理職比率、平均継続勤務年数の男女差、男女別の育児休業取得率、役職別の男女比率。単独指標の動きに一喜一憂せず、構造を立体的に把握する - 差異の要因を「雇用区分」「役職手当」「勤続年数」の3つに分解する
雇用区分の違いから来る差なのか、管理職比率の差から来る差なのか、勤続年数の差から来る差なのか。要因ごとに打ち手は異なる - 「説明欄」に構造要因と改善計画を書く
厚労省は説明欄の活用を推奨している。数値だけでは伝わらない自社の実情を、採用戦略・制度改定・評価基準の見直しと結びつけて説明する
特に3点目の「説明欄」は、投資家・求職者・既存社員に対するコミュニケーションの場として戦略的に活用すべきです。数値の%だけが独り歩きするのを防ぎ、自社の方向性を能動的に伝えることができます。
コーポレートガバナンス・コードとの接続
2026年はコーポレートガバナンス・コードの改訂案も公表された年です。改訂案の大きな論点のひとつが、取締役会の多様性の実効性確保でした。
男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務化は、人的資本開示とコーポレートガバナンスの交差点にあるテーマです。女性活躍推進法は労務政策の文脈、CGコードはガバナンス政策の文脈ですが、ボードから見れば、両者は同じ経営課題を別の角度から照らしているにすぎません。
まとめ ― 今日できること
2026年4月、101人以上企業に男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が義務化されました。
この制度は、数字を突きつけて企業を責めるものではありません。むしろ、数値を出発点として、自社の構造を把握し、説明し、改善していくためのプロセスそのものです。
この記事で整理した3つのポイントを、最後にあらためてまとめます。
この記事のまとめ
- 公表される%は結果に過ぎない。打ち手は構造にある
- 構造は大きく2つ。雇用区分の分かれ道と、チャイルドペナルティ
- 「女性活躍」と「ジェンダーギャップ解消」は違う。意識ではなく仕掛けを変える
人事・経営企画の方が今できること
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厚労省の解説資料を一読し、算出ルールと「説明欄」の活用例を確認する(所要20分)→ 解説資料PDFは全16ページ。算出の前提や追加的な情報公表の例が記載されています。
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自社の男女別平均年間賃金を「全労働者」「正規」「非正規」の3区分で試算してみる(所要1〜2時間)→ 賃金台帳と人事データがあれば試算は可能です。初回公表前に数値の傾向を把握しておくと、要因分析の時間を確保できます。
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自社の管理職の定義(「課長級」の範囲)を人事制度と照合して確認する(所要30分)→ 「課長代理」「課長補佐」は原則含まれません。組織図と等級定義を突き合わせて、公表対象の母集団を確定させましょう。
筆者の所感
冒頭に書いた通り、今回の記事は大学院の社会人講座で聞いた講義をきっかけに、一次情報に立ち返って整理し直したものです。
講義で特に印象に残ったのは、「女性活躍」と「ジェンダーギャップ解消」は違う、という指摘でした。この視座は、人と組織の仕組みづくりに携わってきた立場から振り返ると、確かに腑に落ちるものがあります。「女性活躍」という言葉で進めてきた施策の多くは、全体構造を温存したまま女性だけに頑張りを求める構造だったのではないか、と思うことがあります。
制度は整った、研修もやった、それでも数字が動かない。その違和感の正体は、構造そのものに手をつけていなかったからかもしれません。
2026年の公表義務化は、この構造を数値で可視化する機会です。数字をきっかけに、雇用区分・評価基準・昇進要件・働き方の構造そのものに踏み込む議論ができるかどうか。そこが、これからの企業価値を左右する分かれ目になると考えています。
引き続き、一緒に学んでいきましょう。
用語メモ
▶ をクリックすると説明が表示されます。
男女間賃金差異
女性管理職比率
チャイルドペナルティ(子育てペナルティ)
クリティカルマス
同質性のリスク
参考書籍
本記事を書くにあたって参考にした2冊です。いずれも本記事のテーマである「男女賃金格差の構造」「チャイルドペナルティ」を深く扱った書籍で、さらに理解を深めたい方におすすめです。
クラウディア・ゴールディン『なぜ男女の賃金に格差があるのか ― 女性の生き方の経済学』(慶應義塾大学出版会、2023年)
2023年ノーベル経済学賞を受賞したゴールディン氏の代表作。アメリカの約100年間の女性の労働参加と賃金を5つの世代に分けて追跡し、男女賃金格差の原因を歴史的・経済学的に解明した大著です。特に第8章「それでも格差はなくならない ― 出産による『ペナルティ』」は、本記事で扱ったチャイルドペナルティそのものを論じた章。国際的な文脈で日本の現状を相対化したい方におすすめです。
山口慎太郎『子育て支援の経済学』(日本評論社、2021年)
本記事で引用した山口慎太郎教授の著書。育児休業・保育サービス・現金給付といった子育て支援政策が、女性の就業や子どもの発達にどう影響するかを、経済学の実証研究として整理した一冊。人事制度がジェンダー賃金格差を生むメカニズムにも踏み込んでおり、HR実務家にも読み応えがあります。第64回日経・経済図書文化賞受賞作。
出典・参考情報
※本記事は公開情報をもとに、筆者の視点で整理したものです。制度の詳細や個別事案については、最新の厚生労働省資料や所轄労働局の指導に従ってください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。